- 11月 24, 2025
【季節外れの黄砂】その症状は「黄砂」のせい?健康への影響と、今日からできる5つの対策
皆さんは黄砂と聞くと「春」のイメージをされると思います。しかし11月25日から26日には黄砂が飛来する予報がされています。春には花粉と一緒に皆様の鼻や喉に影響を及ぼします。花粉は少ない時期ですので、大きな影響はないかもしれませんが、インフルエンザも流行している時期ですので、咳や鼻水の症状を悪化させる可能性があります。季節外れの黄砂のニュースがありましたので、黄砂の影響について解説いたします。
今回は、環境省のデータに基づき、黄砂が人体に与える影響と、ご家庭ですぐに実践できる対策について詳しく解説します。
当院は京都市伏見区醍醐合場町にある、呼吸器内科を中心とした内科クリニックです。
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そもそも「黄砂」とは?
ただの砂ではありません

ニュースなどでよく耳にする「黄砂」ですが、具体的にどのようなものかご存知でしょうか?
黄砂とは、中国やモンゴルにある砂漠(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土高原から、強風によって巻き上げられた土壌や鉱物の粒子のことです 。これらが偏西風に乗って、はるばる日本まで飛来します。
日本への飛来ピークは「3月~5月」
黄砂は一年中飛んでくる可能性がありますが、日本では特に2月頃から増え始め、3月から5月にピークを迎えます 。これは、発生源の雪解けが進み、植物がまだ十分に生えていない乾燥した地面から、砂が舞い上がりやすくなるためです 。
ではなぜ今回11月に黄砂がくるのか?
通常、秋は大陸が徐々に冷え始め、砂が舞い上がりにくくなり、黄砂の発生はほとんどありません。しかし、今年は東シベリアを中心に雨が非常に少なく、大地が乾燥した状態が続いていました。そこに低気圧による強風が吹き、砂が舞い上がったのです。
怖いのは「汚染物質」を連れてくること
「たかが砂でしょ?」と侮ってはいけません。 黄砂の粒子は非常に小さく(直径4µm付近にピーク)、日本へ飛んでくる途中で、大気汚染物質(硫酸塩や硝酸塩など)を吸着して運んでくることが分かっています 。
つまり、私たちの呼吸器に入り込む黄砂は、単なる土の粒子ではなく、有害物質を含んだ微粒子となっている可能性があるのです。
黄砂が引き起こす「3つの健康被害」

環境省の報告によると、黄砂の飛来によって、私たちの体には主に以下の3つの影響が出ることが指摘されています。
- アレルギー症状(目・鼻・皮膚)
最も多くの方が実感するのが、アレルギー症状です。 黄砂が飛来すると、目のかゆみ、結膜炎、鼻水、くしゃみなどの症状が出やすくなります 。
花粉症とのダブルパンチ: 春はスギ花粉の時期と重なるため、花粉症の方は症状がさらに悪化する恐れがあります 。
皮膚トラブル: 黄砂の飛来時に皮膚症状が出る方は、金属アレルギーの傾向があるとも言われています 。肌荒れやかゆみを感じることもあります。
- 呼吸器疾患(咳・喘息・肺炎)
黄砂は気管支や肺の奥まで入り込みやすいため、呼吸器系に大きな負担をかけます。
喘息の悪化: 気管支喘息を持つ患者さんでは、黄砂飛来時に入院や受診が増えることが報告されています 。
健康な人でも咳が出る: 喘息を持っていない成人の方でも、黄砂濃度が高い日には咳が出やすくなることが分かっています 。
肺炎: 肺炎による入院の増加や、肺炎による死亡との関連も報告されています 。
お子様への影響: 小児においては、受診数の増加や、黄砂飛来後の呼吸機能の低下が観察されています 。お子様の咳が長引く場合は注意が必要です。
- 循環器疾患(心臓・脳血管)
意外に知られていないのが、心臓や血管への影響です。 研究によると、黄砂の飛来と救急搬送数の増加、脳梗塞や心筋梗塞による入院・発症の増加に関連があることが報告されています 。
特に以下のリスクをお持ちの方は注意が必要です 。
- ご高齢の方
- 糖尿病の方
- 慢性腎臓病(CKD)の既往がある方
心筋梗塞などを発症する詳細なメカニズムはまだ解明されていない部分もありますが 、体調の変化には敏感になるべき時期と言えるでしょう。
いますぐできる!黄砂から身を守る「5つの対策」
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黄砂による健康被害を防ぐためには、「吸い込まない」「体に触れさせない」ことが基本です。環境省のガイドラインに基づき、効果的な予防策をご紹介します。
① 最新の「黄砂予報」をチェックする
まずは、今日どれくらい黄砂が飛んでいるかを知ることが第一歩です。 環境省や気象庁は、ウェブサイトでリアルタイムの飛来情報や予測図を公開しています 。
環境省「黄砂飛来情報」: ライダー(観測機器)によるリアルタイム濃度が見られます 。
気象庁「黄砂情報」: 向こう数日間の予測図が確認できます 。
黄砂濃度が高い日(目安として0.3mg/m³を超えるような場合 )は、以下の対策を徹底しましょう。
② 不要不急の外出を控える
黄砂が多く飛んでいる日は、できるだけ外出を減らし、黄砂を吸い込む量を減らすことが最も確実な予防法です 。 特に、屋外での長時間の激しい運動(マラソンなど)は避けてください 。呼吸量が増え、肺の奥まで大量の黄砂を取り込んでしまうリスクがあります。
呼吸器や循環器に持病のある方、小さなお子様、高齢者の方は、体調に合わせてより慎重に行動しましょう 。
③ マスクを「正しく」着用する
外出時は必ずマスクを着用しましょう。 一般用の不織布マスクでも、ある程度の吸入予防効果が期待できます 。
【重要なポイント】 マスクの効果を十分に発揮させるためには、「顔のサイズに合ったもの」を選び、「隙間なく」着用することが何より大切です 。鼻の横や頬に隙間があると、そこから黄砂が侵入してしまいます。これは黄砂に限らず重要です。
※医療用や産業用の高機能マスク(N95など)は微粒子の捕集効率が高いですが、息苦しくなるため長時間の使用には向きません 。日常使いには、隙間のない不織布マスクで十分な対策を心がけましょう。
④ 換気は最小限にし、空気清浄機を活用する
コロナ禍以降、換気が習慣になっている方も多いと思いますが、高濃度の黄砂が飛来している時は要注意です。
窓の開閉や換気を必要最小限にすることで、室内への侵入を防ぎましょう 。
また、空気清浄機も一定程度有効とされます。ただし、フィルターの性能によって除去効果が異なります。「PM2.5対応」と表示されている製品や、高性能フィルター(HEPAフィルター等)を搭載したものを使いましょう 。もちろん、フィルターの定期的な清掃や交換も忘れずに。
⑤ 洗濯物は部屋干しにする
黄砂が飛来している時は、洗濯物を外に干すと、汚れが付着するだけでなく 、取り込む際に室内に黄砂を持ち込んでしまうことになります。 この時期は、乾燥機や部屋干しを活用することをお勧めします。 また、帰宅時は玄関の外で衣服についた砂や花粉を軽く払い落としてから家に入る習慣をつけましょう。
PM2.5との関係について
「PM2.5」という言葉もよく聞きますが、実は黄砂とも深い関係があります。 黄砂のうち、粒径が2.5µm以下の小さなものはPM2.5に含まれます 。そのため、黄砂が飛んでくると、PM2.5の濃度も上昇する傾向にあります。
環境省では、PM2.5の濃度が高くなった場合(日平均値70µg/m³以上)に注意喚起を行っています 。自治体からPM2.5の注意報が出ている日は、黄砂対策と同様の行動をとることで、健康被害の予防につながります。
最後に:こんな症状があったら受診を

黄砂は自然現象ですが、私たちの健康に無視できない影響を与えます。 「ただの砂埃」と思わずに、天気予報を見るのと同じ感覚で黄砂情報をチェックし、マスクや空気清浄機で身を守ってください。
もし、以下のような症状が見られた場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。
- 目のかゆみや痛みがひどい、充血が治まらない
- 咳が長引く、夜眠れないほど咳き込む
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
- 普段よりも息切れがする、胸が苦しい
特に、アレルギー性鼻炎や喘息をお持ちの方は、症状が悪化する前に早めにご相談いただければと思います。
インフルエンザなどの風邪とダブルパンチで症状が悪化する可能性があります。
どうぞご注意ください。