- 7月 15, 2025
- 7月 23, 2025
知ってる?HPVワクチンで防げるがんと、守れる未来
「子宮頸がんは怖い病気」と聞いたことがある方は多いと思います。
でも実はこの子宮頸がんは、HPVワクチンと検診で防げるがんなんです。
さらに、HPVワクチンは女の子だけでなく男の子にもとても大切なもの。
将来、自分自身はもちろん、大切なパートナーや家族を守ることにつながります。
この記事では、HPVとは何か、なぜワクチンが必要なのか、そして検診の大切さまで、わかりやすくお話しします。
夏休みを利用し、接種を検討されているご家庭も多いと思います。いろいろなところでお知らせが出ていますので、皆さんご存知かと思いますが、まとめてみましたので、皆様のお役に立てますと幸いです。ぜひ参考にして下さい。
子宮頸がんは「ワクチンと検診で防げるがん」です
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が主な原因です。
実は、ワクチンと定期的な検診を組み合わせることで防ぐことができる、数少ない「予防可能ながん」です。
ただし、日本では子宮頸がんになる人がまだ多く、患者さんの約9割が「検診を受けていなかった」というデータもあります。
将来の自分や大切な人を守るために、今からできる予防を考えてみませんか?
HPVはどんな病気をおこすの?
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、子宮頸がんや性器いぼを引き起こすウイルスです。特に子宮頸がんは時間をかけてゆっくり進行し、2021年に日本全国で子宮頸がんと診断されたのは10,690人です。
HPVは女性の外陰部や膣のがん、男性の陰茎がん、さらに男女ともに肛門がんや口・のどのがんを引き起こすこともあります。
HPVはどうやってうつるの?
HPVは皮膚と皮膚の接触、特に性行為(膣性交、オーラルセックス、肛門性交)や性器に触れることでうつります。コンドームは大切ですが、性器の皮膚すべてを覆えるわけではないため、完全に防ぐことはできません。
50歳までに性的に活動的な人の75〜80%が一度はHPVに感染するとされており、初感染は15〜25歳の間が多いです。
HPVに感染してもすぐに病気になるわけではありません
HPVに感染しても多くの人は症状が出ず、自然にウイルスが消えることも少なくありません。
ただ、女性の10〜20%ではウイルスが消えずに残り、ゆっくりと前がん病変、やがてがんへ進行することがあります。
実際にHPVに感染してから子宮頸がんになるまでには平均20〜25年かかります。
だからこそ、若いうちにしっかり予防することが大切です。
だからこそ、ワクチンで「将来の感染」を予防
HPVワクチンは、これから先に感染する可能性のあるHPVから体を守るものです。
すでに感染してしまっているウイルスには効果がありません。
そのため、性交を経験する前、または早いうちに接種するのが最も効果的です。
女の子だけでなく、男の子がワクチンを打つことで将来パートナーへの感染を防ぐことにもつながります。
*本邦では現在、男性への接種は定期接種でないため、費用は接種者が全額負担となります。
世界のHPVワクチン
現在、日本では3種類(ガーダシル、ガーダシル9、サーバリックス)のワクチンが使用可能です。
これらは非常に安全で、子宮頸がんの元になる子宮頸部の異常(前がん病変)を大きく減らすことが分かっています。
特にシルガードはは、子宮頸がんの約90%を占める9種類のHPV型を予防できる心強いワクチンです。
いつ・誰が打つの?回数は?
定期接種(公的補助の利用が可能な方)対象者
小学校6年生~高校1年生相当(今年は2009年4月2日~2014年4月1日生まれの方)です。また、キャッチアップ接種は2025年3月31日で終了しましたが、今年度17歳~28歳になる方(1997年4月2日~2007年4月1日生まれ)と2025年度に定期接種の対象から外れる2008年度生まれの女性でキャッチアップ接種期間中(2022年4月1日~2025年3月31日)に1回以上接種している方は、2026年3月31日まで公費で残りの接種を完了できるよう経過措置が設けられています。2025年3月31日を過ぎても、キャッチアップ期間中に1回でも接種された方は公費負担の対象となりますので、お間違えの無いように。
定期接種の対象ではない方でも、未接種であればもちろん接種は可能ですが、医師と相談の上接種してください。
接種回数は年齢や体の状態で変わります。
年齢・条件 回数とスケジュール
- 15歳未満(免疫正常) 6か月以上あけて2回接種
- 15歳以上(免疫正常) 初回→1-2か月後→6か月後の計3回
- HIV感染など免疫が弱い人 年齢にかかわらず3回接種
ワクチンを打っても検診は必要?
HPVワクチンは将来の感染を防ぐものなので、すでに感染したHPVや、ワクチンでカバーしていない型には効きません。
そのため、20歳になったら必ず2年に1回の子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)を受けましょう。
ワクチン+検診の両輪が、子宮頸がんを防ぐ一番の方法です。
副反応や注意
ワクチンの副反応は、腕の痛みや赤み、腫れ程度が多く、数日でおさまります。
まれに気分が悪くなって倒れやすいことがあるので、接種後すぐには立たず、少し座って様子を見ましょう。当院では初回は接種後臥位で20分休憩していただいています。注射で気分が悪くなったことがある方では臥位での接種をお勧めしています。
妊娠中は原則接種を控えますが、誤って接種しても胎児への害は報告されていません。
ワクチンの効果・他の病気への影響は?
ワクチンで対象のHPV感染・子宮頸がんやその前段階(前がん病変)を大幅に減らせます。性器いぼや将来の肛門がん、口・のどのがんのリスクも下げます。
ただし、HIV、ヘルペス、クラミジア、淋病など他の性感染症は防げません。
コンドームを使うなど、他の対策も引き続き大切です。
まとめ
子宮頸がんは「ワクチンと検診で防げるがん」です。
気になることがあればいつでもご相談くださいね。