• 9月 22, 2026
  • 9月 29, 2026

【2026-27年版】インフルエンザワクチンは打った方がいい?迷っている方へ医師が伝えたいこと

秋になると、インフルエンザワクチンについて診察室でよく聞かれる質問があります。

「先生、インフルエンザワクチンって、やっぱり打った方がいいんですか?」

「注射は痛いし、できれば打ちたくない」「去年打ったのにインフルエンザになった」「健康だし、今までインフルエンザにかかったことないしわざわざ打たなくてもいいかな」。そんな気持ちで迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事は、そんな方のために書きました。最初に私の考えをお伝えすると、特別な理由がなく、「打とうかな、やめておこうかな」と迷っているのであれば、私は接種をおすすめします。

ワクチンを打てば絶対にインフルエンザにならない、というわけではありません。それでも、発症する可能性や、かかったときに重くなる可能性を少しでも下げる。そこに接種する意味があります。

この記事でお伝えしたい3つのこと

  • ワクチンには、発症や重症化を減らす効果が期待できます。
  • 高齢者・小児・持病のある方は、特に接種をご相談ください。
  • 副反応も理解したうえで、流行に備えて早めに予定を立てましょう。

2025-26シーズンもインフルエンザは大きく流行しました

2025/26シーズンの日本では、2025年11月頃から年末にかけてA(H3N2)型が流行し、2026年1月以降にはB型が流行しました。厚生労働省の患者報告数をもとにした推計受診者数は、累計で約2,245万人に達しています。[1]

このシーズンから報告体制や患者数の推計方法が変わったため、過去のシーズンとの単純な比較はできません。それでも、大きな流行だったことが日本感染症学会から報告されています。[1]

インフルエンザは、決して過去の感染症ではありません。毎年、多くの人がかかる身近な感染症です。

「打ってもかかるなら、意味がないのでは?」

ワクチンを接種していても、インフルエンザになることはあります。これは正直にお伝えしておきたいと思います。

ただ、ワクチンの効果は「打った人は絶対にかからない、打たなかった人はかかる」という、0か100かで考えるものではありません。

重症化を防ぐという面では、少しシートベルトに似ています。シートベルトをしていても事故は起こります。それでも、大きなけがをする可能性を下げるために着けますよね。

インフルエンザワクチンにも、発症を減らすこと、発症した場合の重症化を減らすことが期待できます。感染そのものを完全に防ぐワクチンではありませんが、「打ってもかかった」という経験だけで、意味がないとは言い切れません。[2][5]

流行するウイルスが変わっても、効果がなくなるとは限りません

インフルエンザウイルスは少しずつ変化します。「今年のワクチンと流行株が合わなかったら、意味がないのでは?」と思うかもしれません。

実際、2025/26シーズンには、ワクチン株と流行したA(H3N2)型ウイルスの違いが問題になりました。それでも、米国の中間解析では、次のような効果が報告されています。[5]

対象外来受診リスクの低下入院リスクの低下
小児・青年(18歳未満)約38~41%約41%
成人(18歳以上)約22~34%約30%
米国・2025/26シーズンの中間解析。研究集団全体での推定値で、個人への効果を保証するものではありません。[5]

これは、接種していない人と比べた場合の相対的なリスク低下の推定値です。「接種した人のうち、この割合の人は絶対にかからない」という意味ではありません。 また、米国の2025/26シーズンの結果であり、日本の2026/27シーズンの効果をそのまま示す数字ではありません。

日本の小児を対象とした2025/26シーズンの研究でも、A型に対し、注射型の不活化ワクチンで43%の予防効果が推定されました。ただし、推定には幅があり(95%信頼区間15~62%)、この研究ではB型に対する有意な予防効果は確認されませんでした。[6]

効果は、シーズンや年齢、流行するウイルスによって変わります。ワクチンは完璧ではないけれど、「意味がない」わけでもない。 ここは大切なところです。

インフルエンザは「ちょっと強い風邪」ではありません

多くの方は回復しますが、突然の高熱、頭痛、筋肉痛・関節痛、強いだるさなどが現れ、咳やのどの痛みを伴うこともあります。数日間、普段どおりに過ごせなくなることもあります。[4]

仕事を休む。大切な予定をキャンセルする。子どもの世話ができなくなる。子どもが感染すれば、看病のために仕事を休まなければならないこともあるでしょう。

インフルエンザの負担は、「命に関わるかどうか」だけではありません。自分や家族の日常生活が、数日間止まってしまう。 これも十分に大きな負担だと思います。

高齢者や小さなお子さん、持病のある方は特にご相談を

小児では、まれに急性脳症が起こることがあります。また、高齢者や免疫力が低下している方では、肺炎などを合併して重症になることがあります。[4]

日本感染症学会も2026/27シーズンについて、高齢者、小児、施設入所者、介護者、医療従事者などへの接種を推奨しています。[1]

喘息やCOPDなど呼吸器の持病がある方では、インフルエンザなどの呼吸器感染症をきっかけに、咳や息苦しさが悪化することもあります。

私自身、呼吸器疾患の患者さんを診察していて、「普段は落ち着いていたのに、インフルエンザをきっかけに喘息が悪くなってしまった」というケースを毎年経験します。

こうした方にとっては、もともとの病気を悪化させるきっかけを減らすという視点でも、ワクチンを考えることが大切です。

「私は健康だから、打たなくてもいいですか?」

高齢者や持病のある方と、若く健康な方では、重症化するリスクは同じではありません。すべての人に同じ強さで「絶対に打たなければいけません」と言うつもりはありません。

ただ、次のような事情があれば、それも接種を考える理由になります。

  • インフルエンザで仕事を何日も休むと困る
  • 受験や旅行、大切な仕事を控えている
  • 家に高齢の両親や小さな子どもがいる

自分が重症化するかどうかだけでなく、「この冬、インフルエンザを発症する可能性を少しでも減らしておきたいか」という視点で考えてみてください。

「注射が痛いから嫌」――副反応も知ったうえで考えましょう

注射は、一瞬ですが痛みます。そして、接種した場所の痛み、赤み、腫れなどが起こることもあります。

厚生労働省が示す、注射型のインフルエンザワクチンで比較的よくみられる副反応は、次のとおりです。[2]

副反応頻度の目安経過の目安
接種部位の赤み・腫れ・痛み10~20%通常2~3日で改善
発熱・頭痛・寒気・だるさ5~10%通常2~3日で改善
注射型のインフルエンザワクチンについて。経鼻ワクチンとは副反応の特徴が異なります。[2]

まれですが、アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応が起こる可能性もあります。ワクチンのリスクはゼロではありません。[2]

大切なのは、注射の痛みだけでなく、副反応と、インフルエンザの発症・重症化を減らす利益の両方を知って判断することです。不安があれば、接種前に遠慮なく相談してください。

過去にワクチン成分で重いアレルギー反応があった方や、接種当日に発熱している方などは、接種できない場合があります。問診で必ずお伝えください。[2]

2026-27年のワクチンは「3価」です

日本では2025/26シーズンから、従来の4価から3価ワクチンに変更されています。2026/27シーズンも3価です。[1][2]

「4種類から3種類に減ったなら、弱くなったの?」と思うかもしれませんが、そういう意味ではありません。長期間、世界的に確認されていないB型・山形系統を外し、必要と考えられるウイルスに合わせた変更です。

含まれるのは、次の3種類に対応する抗原です。[1][2]

  • A(H1N1)型
  • A(H3N2)型
  • B型・ビクトリア系統

子どもには、鼻から接種するワクチンもあります

日本では、注射型の不活化ワクチンに加え、鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチン「フルミスト」も使用できます。対象は2歳以上19歳未満、接種は1回です。[1]

「注射がどうしても怖い」というお子さんにとって、一つの選択肢になります。

日本の2025/26シーズンの小児研究では、フルミストでもA型への予防効果が示されました。ただし、接種した子どもの数が少なく、注射型とどちらが優れているかを、この研究だけで単純に比較することはできません。[6]

年齢や基礎疾患などによって適さない場合があります。喘息などの持病や服用中のお薬も伝えたうえで、医療機関で相談してください。取り扱いの有無は、接種を希望する医療機関にご確認ください。

インフルエンザワクチンはいつ接種するのがいい?

ワクチンは、接種した直後から効果が出るわけではありません。注射型では、一般に接種後約2週間から効果が期待され、持続期間の目安は約5か月とされています。効果の出方や続き方には個人差があります。[3]

日本では例年、秋から接種が始まり、12月中旬までに接種を終えることが一つの目安です。ただし、流行が早まることもあるため、地域の流行状況や医療機関の案内に合わせて予定を立てましょう。[2]

2回接種が必要なお子さんは、接種間隔も含めて早めに相談してください。[3]

「一番いい日を探しているうちに、結局打たなかった」となるくらいなら、接種できる時期になったら予定を決めてしまう方がよいと思います。

「毎年打たないといけないんですか?」

基本的には、毎シーズン接種を検討します。理由は大きく2つあります。[2]

  • 流行するウイルスが変化するため。 そのシーズンの流行を予測して、ワクチン株が選ばれます。
  • ワクチンによる防御効果が、ずっと続くわけではないため。 時間とともに効果は低下します。

「去年打ったから今年は大丈夫」とはならず、その冬に備えて毎年考えることになります。

迷っている方へ、最後にお伝えしたいこと

インフルエンザワクチンは、打てば絶対にかからないワクチンではありません。それでも、発症や受診・入院のリスクを減らし、重症化を防ぐことが期待できるワクチンです。[2][5]

「絶対に必要ですか?」と聞かれれば、すべての方に「絶対です」と答えることはできません。でも、「健康だけど、打とうかどうか迷っています」と聞かれれば、私はこう答えます。

「特別な理由がなければ、打っておいた方がいいと思いますよ」

接種して、その冬にインフルエンザにならなかったとしても、本当にワクチンのおかげだったのかは分かりません。予防とは、そういうものだと思います。何も起こらなければ、そのありがたさは実感しにくいものです。

それでも、何も起こらない冬を過ごす可能性を少しでも高くするために、できる準備をしておく。 インフルエンザワクチンも、その準備の一つです。

今年はどうしようかな、と迷っている方にとって、この記事が考えるきっかけになれば幸いです。

当院でのインフルエンザワクチン接種について

当院でもインフルエンザワクチン接種を行っています。接種を希望される方は、当院ホームページのお知らせ「インフルエンザワクチンについて」で予約方法・接種期間・料金をご確認のうえ、ご予約ください。持病や過去の副反応が気になる方は、診察時にご相談ください。

参考文献・参考資料

国内の公的資料・学会提言

[1] 日本感染症学会 インフルエンザ委員会.2026/27シーズンに向けたインフルエンザワクチン接種に関する考え方とトピックス.2026年9月18日.

[2] 厚生労働省.インフルエンザワクチン(季節性).

[3] 厚生労働省.季節性インフルエンザワクチンについて.厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料2-1.

[4] 厚生労働省.インフルエンザ(総合ページ).

ワクチンの効果を検討した研究

[5] Maloney P, Reeves EL, Wielgosz K, et al. Interim Estimates of 2025–26 Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness — United States, September 2025–February 2026. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2026;75:116–123.

[6] Shinjoh M, Furuichi M, Sugimoto R, et al. Effectiveness of inactivated and live-attenuated influenza vaccines in children during the 2025–2026 influenza season with genetically distinct influenza A and B viruses. Vaccine. 2026;88:128869. doi:10.1016/j.vaccine.2026.128869.

※本記事は2026年9月時点の公表資料・医学文献をもとに作成しています。接種の適応や可否は、年齢、基礎疾患、体調などによって異なります。個別の判断は診察時にご相談ください。

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