- 7月 17, 2025
- 7月 23, 2025
「病院に行ったら風邪をもらった」なんて、もう言わせたくない。
日々診療をしていると、患者さんからよく聞く言葉があります。
「この前、病院に行ったら風邪をもらって帰ってきたんです…」
この一言を聞くたびに、医療を提供する側として胸が痛みます。
「病気を治すために来た場所で、別の病気をもらってしまう」
それはあってはならないことですし、安心して通える医療機関であるために、私たちが真剣に向き合うべき課題です。
発熱外来という「分ける工夫」
特に、新型コロナウイルスの流行以降、発熱や咳などの症状がある方と、定期的な診察や健康診断でお越しになる方とをしっかりと分けることの重要性が明らかになりました。
当院では、発熱や咳・喉の痛みなど、感染症が疑われる患者さんの診察は、専用の「発熱外来」診察室で行っています。
さらに、空間だけでなく時間も分けるため、発熱外来は完全予約制とさせていただいております。
完全予約制にご理解ください
発熱外来の完全予約制は、以下の理由からです:
- 他の患者さんとの接触を避けるため
- 安全な診療体制を保つため
- 診察室や設備の消毒・換気を徹底するため
そのため、ご希望の時間に予約が取れないことがあるかもしれません。
ご不便をおかけしますが、感染予防を最優先する当院の方針として、どうかご理解くださいますようお願いいたします。
動線を分けるべき主な疾患
以下のような空気感染・飛沫感染・接触感染のリスクがある疾患では、動線を明確に分けることが非常に重要です:
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
- マイコプラズマ肺炎
- RSウイルス感染症
- アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱など)
- ノロウイルス・ロタウイルス感染症(胃腸炎)
- 水痘・麻疹・風疹などのワクチン予防可能な疾患
- 溶連菌感染症(猩紅熱など)
動線分離の有用性:エビデンスに基づく対策
感染管理における「動線分離」の重要性は、以下のような医療機関向けガイドラインや研究で繰り返し強調されています。
■ WHO・CDC の推奨事項
CDC「Standard Operating Procedure for Triage of Suspected COVID‑19 Patients」(2024)では、トリアージ時の早期識別と隔離、動線分離が感染拡大防止に不可欠と明記されています。
CDC感染制御ガイドライン(2024改訂版)でも、発熱や咳症状がある患者は個別空間に配置し、一般患者と接触させないことが推奨されています。
■ 日本感染症学会・環境感染学会の見解
日本環境感染学会の提言では、動線の明確な分離とゾーニング(感染区域と非感染区域の明示)が、集団感染を防ぐために不可欠とされています。
■ 実証研究・論文
Setoら(2003年, Lancet)は、SARS流行時において動線分離と防護策を徹底した病院では、医療スタッフへの感染率がゼロだったと報告しています。
同じく香港の病院で行われたケーススタディでは、患者の待機・導線を分けた病院では院内感染発生率が約80%低下したとされています。
小さなクリニックでも、できることを最大限に
あれだけ隔離に苦心した「第二のコロナ」が現れないことを、私たちも心から願っています。
当院は小さな診療所ではありますが、院内感染を少しでも防ぐために、動線の分離やゾーニング、予約制の導入など、可能な限りの対策を継続しています。
これからも「安心できるクリニック」であるために
当院は「地域のかかりつけ医」として、感染症も慢性疾患も含めてすべての患者さんが安心して受診できる空間づくりに努めてまいります。
体調のすぐれないときは、まずはお電話またはWEB予約でご相談ください。
これからも安全で信頼される医療を、地域の皆さまと共に築いていきます。