• 9月 8, 2026

健診で「血糖値・HbA1cが高い」と言われたら?糖尿病の合併症と毎日の生活で気をつけたいこと

こんにちは。京都市伏見区醍醐にある辻医院です。

「甘いものはあまり食べないのに、血糖が高いと言われました」
「今は何ともありませんが、何に気をつければよいですか?」

血糖の異常を指摘されると、食事や薬のことが気になるかもしれません。しかし、糖尿病の管理で大切なのは、数字を下げることだけではありません。目・腎臓・神経や血管を守り、これからの生活を健やかに続けることが大きな目的です。

今回は、健診結果の見方に加えて、糖尿病の合併症と毎日の生活で気をつけたいことを、できるだけ具体的にお伝えします。

この記事の要点

  • 空腹時血糖126 mg/dL以上、随時血糖200 mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上などは「糖尿病型」の判定値です。1回の結果だけで確定しない場合もあります。
  • 糖尿病の合併症は、症状がない時期から目・腎臓・神経、心臓や脳の血管などに進むことがあります。
  • 食事は糖質をゼロにするのではなく、量とバランスを整えることが基本です。
  • 足の傷、低血糖、発熱・嘔吐などのシックデイでは、普段から対応方法を確認しておくことが大切です。

糖尿病は「甘いものの食べすぎ」だけが原因ではありません

血液中のブドウ糖を、体がエネルギーとして利用するために働くホルモンが「インスリン」です。インスリンの分泌が少なくなったり、効きにくくなったりすると、血糖値が高くなります。

2型糖尿病には、体質や遺伝的な要因に、食事や運動などの影響が重なります。また、自己免疫などが関係する1型糖尿病や、ほかの病気・薬などが関係する糖尿病もあります。

「太っていないから関係ない」「自分の努力が足りなかった」とは決めつけず、まずご自身の状態を確かめましょう。

血糖値とHbA1cは、見ている期間が違います

血糖値は、採血したそのときの血液中のブドウ糖の濃さです。食事の影響を受けるため、空腹時なのか、食後なのかも確認します。

一方、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、主に過去1〜2か月の血糖の状態を反映する数値です。ただし、貧血や腎臓病など、HbA1cが実際の血糖状態とずれることがある条件もあります。数値はほかの検査や体の状態と合わせて判断します。

糖尿病の確認に使う数値の目安

医療機関では、主に次の値を「糖尿病型」と判定する目安として使います。

検査糖尿病型の判定値
空腹時血糖126 mg/dL以上
75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値200 mg/dL以上
随時血糖(食事時間によらず測定)200 mg/dL以上
HbA1c(NGSP)6.5%以上

この表の値に一つ当てはまっただけで、必ず糖尿病と確定するわけではありません。血糖値とHbA1cの組み合わせ、別の日の再検査、典型的な症状の有無などをもとに診断します。

また、この値より低くても「正常」とは限りません。健診で再検査や生活の見直しを勧められた場合は、結果票の指示を確認してください。

症状がなくても気をつけたい「目・腎臓・神経」の合併症

高血糖が長く続くと、細い血管や神経が傷み、合併症が起こることがあります。特に知っておきたいのが、糖尿病網膜症、糖尿病性腎臓病、糖尿病神経障害です。

目:よく見えていても、眼科での確認が必要です

目の奥にある網膜の血管が傷むのが「糖尿病網膜症」です。初期には自覚症状がないこともあり、「見えにくくなってから受診すればよい」とは言えません。

糖尿病と診断されたら、見え方に問題がなくても眼科で確認しましょう。網膜症がない場合でも、一般に年1回は眼科で検査を受けることが推奨されています。すでに異常がある方などは、眼科医が決めた間隔で受診します。

腎臓:尿と血液の検査で、早い変化を見つけます

腎臓には、血液中の老廃物や余分な水分を尿に出す働きがあります。糖尿病で腎臓が傷んでも、初期には痛みなどの症状が出ないことが少なくありません。

そのため、血液検査でクレアチニンやeGFRを確認するとともに、尿にアルブミンというたんぱくが漏れていないか調べます。進行すると透析が必要になることもありますが、症状を待たずに変化を見つけ、早く対応することが大切です。

神経:足の「痛くない傷」にも注意しましょう

神経障害では、足のしびれや痛みだけでなく、痛み・熱さ・冷たさを感じにくくなることがあります。すると、靴ずれや小さな傷、やけどに気づきにくくなります。

足の血流が悪いことなども重なると、傷が治りにくく、感染が広がることがあります。「痛くないから大丈夫」ではなく、目で見て確かめることが大切です。

心臓や脳の血管を守ることも、糖尿病の管理の一部です

糖尿病では、目や腎臓だけでなく、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、足の血流障害にも注意が必要です。血糖値だけでなく、血圧・LDLコレステロールの管理、禁煙も大切になります。

ただし、糖尿病になったら必ず合併症が起こるということではありません。早くから体の状態を確認し、生活の調整や必要な治療を続けることで、合併症の発症や進行の危険を減らすことを目指せます。

食事は「糖質をゼロ」にするより、量とバランスを整えます

甘いものを控えるだけでなく、ご飯・パン・麺などの主食の量や、食事全体の量も見直します。一方で、主食を極端に減らし、その代わりに肉の脂身などを増やすような自己流の調整は避けましょう。主食・主菜・副菜を組み合わせ、必要な栄養を適量とることが基本です。

  • 砂糖入りの飲み物や甘い缶コーヒーは、水や無糖のお茶へ替える
  • 果汁100%ジュースも糖質を含むため、自由に飲める飲み物とは考えない
  • 食事を抜いて夜にまとめて食べず、時間と量の偏りを小さくする
  • おやつは何となく食べ続けず、量や時間を決める

適切な食事量は、年齢、体格、活動量、腎臓の状態などによって違います。特に、やせている方や高齢の方は、食事を減らしすぎて筋肉や体力が落ちないよう注意が必要です。

「運動を頑張る」より、日常で動く機会を増やしましょう

体を動かすことは、インスリンの働きを助け、血糖の管理に役立ちます。特別なスポーツを始めなくても、散歩、買い物、家事などで活動量を増やす方法があります。

体調に問題がない方なら、食後に短い散歩をする、座りっぱなしの時間をこまめに区切るなど、続けられる方法から考えてみましょう。

ただし、血糖が非常に高いとき、目の合併症が進んでいるとき、足に傷があるとき、低血糖を起こしやすい薬を使用しているときなどは、運動の内容やタイミングを先に医師へ相談してください。

毎日の足のチェックを、習慣にしましょう

入浴後などに、足の裏や指の間まで、傷・赤み・腫れ・靴ずれがないか確認しましょう。見えにくいところは鏡を使ったり、ご家族に見てもらったりする方法があります。

  • 足はやさしく洗い、指の間まで水分を拭き取る
  • 深爪を避け、足に合った靴を選ぶ
  • 感覚が鈍い方は、湯たんぽなどによる低温やけどにも注意する
  • タコやウオノメを自分で削ったり、市販薬で処置したりしない

傷の周囲が赤い、腫れている、熱を持つ、膿が出るときは、痛みがなくても速やかに医療機関へ相談してください。

歯と歯ぐきのケアも、忘れずに

糖尿病と歯周病は、互いに影響し合うことが知られています。毎日の歯みがきに加え、歯間ブラシなども適切に使い、歯科で定期的な確認を受けましょう。

歯ぐきから血が出る、腫れる、歯がぐらつくなどの変化があれば相談してください。歯科では、糖尿病があることと、使っている薬も伝えておきましょう。

治療中の方は「低血糖」への備えも確認しましょう

インスリンや一部の飲み薬では、血糖が下がりすぎる「低血糖」が起こることがあります。すべての糖尿病の方に同じように起こるわけではありません。ご自身の薬で注意が必要か、あらかじめ確認してください。

冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感などがサインになることがあります。低血糖が疑われ、意識がはっきりして安全に飲み込める場合は、一般にブドウ糖10gをとり、15分ほどして改善しなければ、もう一度同量をとります。改善しない場合は、医療機関へ連絡してください。

意識がもうろうとしている、けいれんしている、または安全に飲み込めない場合は、食べ物や飲み物を口に入れず119番です。

低血糖に注意が必要な薬を使う方は、ブドウ糖の携帯と、ご自身に合った対応方法を確認しておきましょう。

発熱・下痢・嘔吐で食べられない日は、自己判断をしないで

糖尿病の方が、発熱、下痢、嘔吐などで食事がとれない体調不良の日を「シックデイ」と呼びます。「食べていないから血糖は下がるはず」と思いがちですが、感染症などの影響で、逆に血糖が高くなることもあります。

薬によっては、一時的な中止や調整が必要な場合があります。一方、1型糖尿病などで必要なインスリンを自己判断ですべて中断すると危険です。「全部いつも通り」「全部やめる」のどちらにも決めつけず、体調不良時の対応を普段から医師と決めておきましょう。

水分がとれない、嘔吐や下痢が続く、高血糖が続く、ぐったりしている場合は、次の予約日を待たずに医療機関へ連絡してください。意識がおかしい場合は119番です。

数字だけではなく、「普段どおり暮らせること」を目標に

強いのどの渇き、尿の回数の増加、意図しない体重減少、強いだるさがある場合は、健診後の予約日を待たず、早めに相談してください。

症状がない場合も、定期受診や目・腎臓・足などの確認を続けることが大切です。血糖の数値だけでなく、「足に傷はないか」「最近、眼科や歯科を受診したか」にも目を向けましょう。

食事や運動が思うようにできないときも、一人で抱え込む必要はありません。「仕事で食事が遅くなる」「膝が痛くて歩きにくい」といった生活上の困りごとも、診察でお聞かせください。

健診で血糖値・HbA1cを指摘された方は、当院へご相談ください

当院では、健診結果の数値だけでなく、血圧、脂質、腎機能、体重、これまでの病気、現在服用している薬などを確認したうえで、一人ひとりに合った生活習慣の見直しや治療方法をご提案しています。

「甘いものを食べないのに血糖が高い」「HbA1cの結果の見方がわからない」「何から生活を変えればよいか相談したい」というときも、お気軽にご相談ください。必要に応じて糖尿病専門医や眼科などと連携します。健康診断の結果とお薬手帳をご持参いただくとスムーズです。

医療法人緑萌会 辻医院

診療時間
午前 9:00〜12:30(受付 8:45〜12:15)
午後 17:00〜19:30(受付 16:50〜19:15)
休診:日曜・祝日、水曜・土曜の午後
アクセス:京都市伏見区醍醐合場町18-11(石田駅から徒歩10分/京阪バス「合場川」停留所から徒歩1分)


参考情報

※本記事は一般的な医療情報を提供するもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。健診結果や体調について気になることがある場合は、医療機関にご相談ください。

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