• 9月 8, 2026

LDL・HDLコレステロールと中性脂肪は何が違う? 健診結果の見方をやさしく解説

こんにちは。京都市伏見区醍醐にある辻医院です。

「悪玉コレステロールと善玉コレステロールは、何が違うのですか?」
「中性脂肪もコレステロールの仲間ですか?」
「善玉が多ければ、悪玉が高くても大丈夫ですか?」

診察室で、患者さんからよくいただく質問です。健診結果には似た名前が並びますが、LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪は、それぞれ役割が違います。今回は、3つの違いと検査結果を見るときのポイントを、できるだけやさしく解説します。

まず、コレステロールは「体に必要な材料」です

コレステロールと聞くと、「体に悪いもの」「できるだけ減らしたほうがよいもの」という印象があるかもしれません。しかし、コレステロールそのものは、細胞を包む膜や一部のホルモンなどをつくるために必要な物質です。

「悪玉」と「善玉」でコレステロール自体が別の物質になるわけではありません。違うのは、コレステロールを運ぶ「乗り物」です。LDLやHDLは脂質とたんぱく質でできた粒子(リポ蛋白)の名前で、血液検査では、それぞれの粒子に含まれるコレステロール量を調べています(日本動脈硬化学会「脂質異常症診療のQ&A」)。

イメージとしては、LDLは「材料を届ける配送便」、HDLは「余分な材料を戻す回収便」と考えると理解しやすいでしょう。

LDLコレステロール――届ける役割。ただし、多すぎると問題に

LDLは、コレステロールを肝臓から全身の組織へ届ける役割を担っています。検査結果の「LDLコレステロール(LDL-C)」は、LDLに含まれるコレステロールの量を表します。

LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や動脈硬化が原因となる脳梗塞などにつながります。このため、LDLコレステロールは「悪玉」と呼ばれています(国立循環器病研究センター「脂質異常症」)。

「悪玉」という呼び名は、増えすぎたときに血管へ悪影響を及ぼすことから付けられたものです。体にコレステロールが必要だからといって、LDLの数値が高くてもよい、という意味ではありません。

HDLコレステロール――回収に関わる役割。ただし、高ければ安心とは限りません

HDLは、全身の組織や血管の壁などから余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す働きに関わっています。このため「善玉」と呼ばれています。HDLコレステロール(HDL-C)が低いことは、動脈硬化性疾患のリスクと関連します。

ただし、HDLコレステロールは「高ければ高いほどよい」という数値ではありません。また、HDLが高くても、LDLが高いことによるリスクを帳消しにはできません。日本動脈硬化学会も、極端なHDL高値では動脈硬化が少ないとは限らないと説明しています(同学会Q&AのQ3・Q7・Q8)。

「善玉が多いから、悪玉は放っておいて大丈夫」とは考えず、LDLや中性脂肪もそれぞれ確認することが大切です。

中性脂肪――コレステロールとは別の「エネルギー源」です

中性脂肪は、検査結果では「TG」「トリグリセライド」と書かれていることもあります。コレステロールが主に体をつくる「材料」なのに対し、中性脂肪は、体を動かすための「燃料」や、エネルギーを蓄えるための脂質です。どちらも脂質ですが、同じ物質ではありません。

中性脂肪は、油ものを食べたときだけ増えるわけではありません。食事全体のエネルギーのとりすぎに加えて、糖質、甘い飲み物、お酒のとりすぎも高値の原因になります(厚生労働省「脂質異常症」)。

血液中の中性脂肪が高いことは動脈硬化性疾患のリスクと関連します。また、著しく高い場合には急性膵炎にも注意が必要です。空腹時の中性脂肪が500 mg/dL以上の場合は、膵炎リスクの評価も含めて、早めに医療機関へ相談してください

健診結果は、どの数値を目安に見ればよいのでしょうか?

成人では、主に次の数値が脂質異常症を診断する目安になります。

検査項目脂質異常症の診断の目安
LDLコレステロール140 mg/dL以上
LDLコレステロール(境界域)120~139 mg/dL
HDLコレステロール40 mg/dL未満
中性脂肪:空腹時150 mg/dL以上
中性脂肪:随時(非空腹時)175 mg/dL以上
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」に基づく診断基準

LDLコレステロールが120~139 mg/dLの場合は「境界域」とされ、ほかの病気や危険因子も含めて判断します。中性脂肪は食事の影響を受けるため、空腹時と随時では基準が異なります。ここでいう空腹時は、基本的に10時間以上、水以外のものをとっていない状態です。採血前の食事や薬については、受診先の案内に従ってください。

診断基準の詳細は、日本動脈硬化学会の一般向け資料「動脈硬化予防」でも確認できます。

「診断の目安」と「自分の治療目標」は違います

表の数値に当てはまったからといって、全員がすぐに薬を飲むわけではありません。逆に、表の数値を下回っていれば、誰にとっても十分というわけでもありません。

治療の必要性や目標は、年齢、喫煙の有無、高血圧・糖尿病・腎臓病の有無、これまでに心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがあるか、といった条件で変わります。病気のリスクが高い方では、LDLをより低い値に保つ必要があります。

健診結果は「基準値に入っているか」だけでなく、「自分の場合は、どこを目標にすればよいか」を確認しましょう。

食事や生活習慣は、どこを見直せばよいのでしょうか?

「脂質が高い」といっても、どの項目に問題があるかによって、見直しの重点は少し違います。

LDLが高い方は、脂の「種類」を見直しましょう

肉の脂身、鶏皮、バター、生クリームなどに多い「飽和脂肪酸」のとりすぎに注意します。脂身の少ない肉を選ぶ、魚や大豆製品を取り入れる、野菜・海藻・きのこなどで食物繊維をとる、といった工夫が基本です。

「卵だけをやめればよい」と考えるのではなく、肉料理、乳製品、菓子類なども含め、食事全体を振り返りましょう。卵などコレステロールを多く含む食品も、食べすぎには注意が必要です。

中性脂肪が高い方は、食べる量・甘い飲み物・お酒を確認しましょう

揚げ物を控えていても、ご飯や麺類の大盛り、間食、砂糖入りの飲み物、お酒などが重なると、中性脂肪が高くなることがあります。油だけでなく、糖質やアルコール、食事全体の量を見直すことが大切です。

  • 毎日の甘い飲み物を無糖に替える
  • 大盛りを普通盛りにする
  • 間食の回数や量を決める
  • 休肝日をつくり、飲酒量を減らす

HDLが低い方は、運動・禁煙・体重管理が基本です

HDLの数値だけを上げようとするのではなく、体を動かす習慣をつける、喫煙している方は禁煙する、肥満がある方は体重を調整する、といった取り組みが基本です。ウォーキングなどの有酸素運動は、HDLや中性脂肪の改善に役立ちます。

運動は、年齢や持病、体力に合わせて無理なく続けましょう。HDLを上げる目的で、お酒を飲み始めたり、量を増やしたりすることは勧められません。生活習慣については、厚生労働省「脂質異常症を改善するための運動」も参考になります。

「太っていないのに高い」「気をつけているのに下がらない」こともあります

コレステロールの数値は、食事や体重だけで決まるものではありません。例えば「家族性高コレステロール血症(FH)」という、生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい病気もあります。

若いころからLDLが高い、未治療時のLDLが180 mg/dL以上、家族にもコレステロールが高い人がいる、若くして心筋梗塞になった家族がいる、といった場合には医師へ伝えてください。生活習慣の問題だけと決めつけず、体質や家族歴を含めた評価が大切です(日本動脈硬化学会「家族性高コレステロール血症とは?」)。

薬を使う目的は、「検査の数字をきれいにすること」ではありません

脂質異常症は自覚症状がないことも多いため、「何も困っていないのに治療が必要なのですか?」と思われるかもしれません。治療の目的は、将来の心筋梗塞や脳梗塞などを予防することです。

LDLを下げる代表的な薬であるスタチンは、多くの臨床試験をまとめた解析で、心筋梗塞などの主要な血管イベントを減らすことが確認されています。

生活習慣の改善で経過をみられる方もいれば、薬を併用したほうがよい方もいます。薬が必要かどうかは、数値だけでなく、その方の病気のリスクを踏まえて判断します。

健診結果を、「自分の体を知るきっかけ」に

  • LDL:コレステロールを全身へ届ける。高値が続くと動脈硬化の原因になる
  • HDL:余分なコレステロールの回収に関わる。低値に注意するが、高ければすべて安心ではない
  • 中性脂肪:エネルギーとして使い、蓄える脂質。コレステロールとは別の物質

大切なのは、「悪玉だから悪い」「善玉だから安心」と名前だけで判断しないことです。診察の際には、ぜひ次のように聞いてみてください。

「私の場合は、どの項目が問題で、何から取り組めばよいですか?」

健診で数値を指摘された方や、結果の見方がわからない方は、健診結果をお持ちのうえご相談ください。ご自身に合った目標と、無理なく続けられる取り組みを一緒に考えていきましょう。

健診結果が気になる方は、当院へご相談ください

当院では、健診結果の数値だけでなく、血圧、血糖、腎機能、喫煙歴、これまでの病気、現在服用している薬などを確認したうえで、一人ひとりに合った生活習慣の見直しや治療方法をご提案しています。

「LDLが高いと言われた」「中性脂肪が下がらない」「善玉・悪玉の結果の見方がわからない」というときも、お気軽にご相談ください。健康診断の結果とお薬手帳をご持参いただくとスムーズです。

医療法人緑萌会 辻医院

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休診:日曜・祝日、水曜・土曜の午後
アクセス:京都市伏見区醍醐合場町18-11(石田駅から徒歩10分/京阪バス「合場川」停留所から徒歩1分)

※本記事は一般的な情報の提供を目的としています。個別の診断・治療については医療機関へご相談ください。

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