• 7月 25, 2026

夏は痛風発作に要注意!高尿酸血症の方が知っておきたい脱水予防と治療

暑い日が続くと、汗をかく量が増え、体内の水分が失われやすくなります。

高尿酸血症や痛風のある方にとって、夏の脱水は「熱中症だけの問題」ではありません。脱水によって腎臓から尿酸を排泄しにくくなり、血液中の尿酸値が上がって、痛風発作や腎機能の悪化を引き起こすことがあります。

海外の研究では、気温が高くなった後には痛風発作のリスクが約40%高くなり、高温と低湿度が重なった環境では発作との関連がさらに強くなることが報告されています。

また、2026年に報告された約25万人を対象とする研究でも、痛風発作と血清尿酸値は6〜8月に最も高くなる傾向が示されました。夏は、普段より少し意識して脱水と尿酸値を管理したい季節です。

なぜ脱水で痛風が起こりやすくなるの?

痛風は、血液中に増えた尿酸が結晶となって関節にたまり、強い炎症を起こす病気です。

典型的には、足の親指の付け根が突然赤く腫れ、「風が当たるだけでも痛い」と表現されるほどの激痛が起こります。足首、膝、手首などに起こることもあります。

尿酸は主に腎臓から尿へ排泄されます。しかし、発汗・発熱・下痢・嘔吐などで体内の水分が不足すると、腎臓への血流や尿量が減り、尿酸を排泄しにくくなります。

さらに、夏場は飲酒量が増えたり、清涼飲料水や果汁飲料を多く飲んだり、暑い中で激しい運動をしたりすることも、痛風発作のきっかけになります。

夏に多いきっかけ体の中で起きること
発汗・発熱・下痢・嘔吐水分不足で尿量が減り、尿酸が排泄されにくくなる
飲酒量の増加尿酸の産生が増え、排泄が妨げられる/脱水も進む
清涼飲料水・果汁飲料果糖の摂りすぎで尿酸値が上がりやすくなる
暑い中での激しい運動大量発汗による脱水と尿酸値の上昇
夏に痛風発作が起こりやすくなる主な要因

水分は「一気にたくさん」ではなく「こまめに」

脱水予防で大切なのは、のどが渇いてから一度に大量に飲むのではなく、少量ずつ分けて飲むことです。生活の中に、水分補給のタイミングをつくりましょう。

タイミングポイント
起床時睡眠中に失った水分を補う
食事のとき毎食ごとに一杯を習慣にする
外出前・帰宅後暑い屋外に出る前後は特に意識する
入浴の前後入浴中の発汗を見込んで補う
運動中・運動後あらかじめ休憩と補給を予定に入れる
水分補給を習慣にしたいタイミング

飲み物の選び方

普段の飲み物は、水や無糖のお茶などを基本にしてください。長時間の屋外作業や運動で大量に汗をかいたとき、発熱・下痢・嘔吐があるときには、状況に応じて電解質を含む飲料や経口補水液を利用します。

区分飲み物の例使い方の目安
基本にしたい水、無糖のお茶日常の水分補給の中心に
必要なときだけ電解質飲料、経口補水液大量発汗時、発熱・下痢・嘔吐時など
控えたい果糖の多い清涼飲料水、加糖コーヒー、エナジードリンク、甘いスポーツ飲料、果汁飲料飲み過ぎは尿酸値に不利に働く
水分に数えないビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなど脱水を進めるため補給にはならない
夏の飲み物の選び方

スポーツ飲料や経口補水液を日常的に大量に飲む必要はありません。糖分や塩分が多い製品もあるため、発汗量や体調に応じて使い分けることが大切です。

「1日2リットル」は全員共通の目標ではありません

「痛風予防のために、全員が必ず1日2リットル以上飲む」という決まりはありません。必要な水分量は、体格、発汗量、腎機能、心機能、服用している薬によって変わります。

心不全、腎機能低下、肝硬変などで水分や塩分を制限されている方は、自己判断で飲水量を増やさず、主治医の指示を優先してください。

見逃したくない脱水のサイン

  • 尿の回数や量が明らかに減った
  • 尿の色が濃い
  • 口が乾く
  • 立ちくらみがする
  • 脈が速い
  • 運動前後で体重が大きく減った

特に、運動や作業の前後で体重が2%以上減った場合は、発汗に対して水分補給が不足している可能性があります。

ビールだけでなく、アルコール全般に注意

「痛風にはビールが悪い」とよく言われますが、注意が必要なのはビールだけではありません。日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなども、飲酒量が増えれば尿酸の産生を増やし、尿酸の排泄を妨げ、さらに脱水を進めます。

特に次のような場面では、飲酒を避けましょう。

  • 暑い屋外で過ごしているとき
  • 運動の前後
  • 入浴後
  • 発熱、下痢、嘔吐があるとき
  • 痛風発作が起きているとき

アルコールを飲んだ分を、水分補給として数えることはできません。飲酒する場合も量と回数を減らし、同時に水を飲むことが大切です。

また、果糖を多く含む清涼飲料水、加糖コーヒー、エナジードリンク、甘いスポーツ飲料、果汁飲料の飲み過ぎも、尿酸値に不利に働きます。「水分を取っているつもり」が、かえって尿酸管理を難しくしていることがあります。痛風のある方には、アルコール・プリン体・高果糖飲料を控えることが推奨されています。

食事だけで何とかしようとしない

レバーなどの内臓肉、肉汁、一部の魚介類など、プリン体の多い食品を一度に大量に食べることは控えましょう。

一方で、痛風は単に「ぜいたくな食事をした人の病気」ではありません。体質、腎機能、肥満、飲酒、服用している薬など、複数の要因が関係します。

野菜、適量の主食、低脂肪の乳製品などを組み合わせ、無理なく続けられる食事を目指します。

急な絶食、短期間での極端な減量、過度な糖質制限は、ケトーシスや尿酸値の変動を通じて発作を誘発することがあるため避けましょう。

食事や運動は重要ですが、生活改善だけで尿酸値を十分に下げられない場合もあります。薬が必要な方が、食事療法だけで長期間様子を見るのは適切とは限りません。

暑い日の運動は時間と強度を調整する

適度な運動は、体重管理や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの改善に役立ちます。しかし、猛暑の中での長時間運動や高強度運動は、大量発汗と脱水を招きます。

  • 暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートを確認する
  • 暑い時間帯を避け、早朝や夕方、日陰、冷房の効いた環境に変更する
  • 休憩と水分補給をあらかじめ予定に組み込む
  • 暑さ指数が高い日は、激しい運動を中止する・運動そのものを控える

発熱、下痢、嘔吐、食事が取れない状態、痛風発作中は、運動を中止するか、軽い運動にとどめてください。

薬は夏だからと自己判断で中止しない

尿酸を下げる薬を飲んでいる方は、次のような理由で自己判断による中止や増減をしないでください。

  • 暑くなったから
  • 汗をたくさんかいたから
  • 尿酸値が一度正常になったから
  • 痛風発作が起きたから
  • 関節の痛みがなくなったから

尿酸値が急に変動すると、かえって痛風発作が起こりやすくなることがあります。すでに服用している尿酸降下薬は、痛風発作中も原則として継続します。

一方で、嘔吐や下痢が続く、水分や食事が取れない、尿が極端に少ない、血圧が下がるといった状況では、急性腎障害を防ぐために薬の調整が必要になることがあります。

利尿薬、SGLT2阻害薬、鎮痛薬のNSAIDsなどを使用している方は、自己判断で休薬したり継続したりせず、早めに医療機関へご連絡ください。

こんな方は尿酸値を確認しましょう

血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症といいます。ただし、症状がないから問題がないとは限りません。尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作、痛風結節、尿路結石などにつながることがあります。

血清尿酸値意味・目標
7.0mg/dL 超高尿酸血症。症状がなくても評価が必要
6.0mg/dL 未満痛風がある方の治療で一般的に目標となる値
血清尿酸値の目安

次のような方は、一度医療機関で評価を受けましょう。

  • 健康診断で尿酸値が高いと言われた
  • 足の親指、足首、膝などが突然腫れて強く痛んだことがある
  • 尿路結石を繰り返している
  • 腎機能が低下している
  • 高血圧、肥満、糖尿病などを伴っている
  • 家族に痛風の人がいる
  • 利尿薬など尿酸値に影響する薬を飲んでいる

薬を始めるかどうかは、尿酸値だけでなく、痛風発作の回数、腎機能、尿路結石、合併症などを合わせて判断します。

なお、痛風発作中は血清尿酸値が一時的に低く出ることがあります。発作時の採血が正常範囲でも痛風を完全には否定できないため、症状が落ち着いた後に再検査が必要になる場合があります。

強い痛みや脱水症状があれば早めに受診を

関節が突然赤く腫れて強く痛む場合は、患部を安静にして冷やし、早めに受診してください。

初めての発作、発熱を伴う、複数の関節が腫れる、皮膚に傷や感染がある、痛みが数日たっても改善しない場合は、感染性関節炎など別の病気との区別も必要です。

状況対応
関節が突然赤く腫れて強く痛む安静・冷却のうえ、早めに受診
初めての発作/発熱を伴う/複数の関節が腫れる/皮膚に傷や感染がある/数日たっても改善しない他の病気との区別が必要。医療機関を受診
水分を取れない/嘔吐が続く/尿がほとんど出ない/強いだるさ熱中症や急性腎障害の可能性。涼しい場所で体を冷やし、速やかに受診
呼びかけへの反応がおかしい/意識がもうろうとしている/自力で水分が飲めない救急車を呼ぶ
受診の目安

まとめ

  • 夏の痛風対策で最も大切なのは、脱水を避けること。
  • 水や無糖飲料をこまめに取り、暑い時間帯の無理な運動、過度の飲酒、糖分の多い飲料を避ける。
  • ただし、心臓や腎臓の病気がある方は、水分量を自己判断で増やさないことも重要。
  • 尿酸を下げる薬は、暑さや発作を理由に自己判断で中止しない。
  • 高尿酸血症は、痛みがない時期にも進行することがあります。

健康診断で尿酸値を指摘された方や、痛風らしい関節痛を経験した方は、「痛くなくなったから大丈夫」と放置せず、尿酸値と腎機能を確認しましょう。

気になる症状は、当院へご相談ください

当院では、健康診断の結果、痛風発作の有無、腎機能、尿路結石、現在服用している薬などを確認したうえで、一人ひとりに合った生活指導や治療方法をご提案しています。

「健康診断で尿酸値が高いと言われた」「足の親指が急に腫れて痛んだ」というときも、お気軽にご相談ください。健康診断の結果やお薬手帳をご持参いただくとスムーズです。

医療法人緑萌会 辻医院

診療時間
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※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状については医療機関でご相談ください。

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