- 9月 8, 2026
健診で「血圧が高い」と言われたら?数値の見方と今日からできる生活の工夫
「健診のときだけ高い気がします」
「頭痛もないのに、治療が必要ですか?」
「薬を飲み始めたら、ずっとやめられないのでしょうか?」
血圧について、このような疑問をお持ちの方は少なくありません。健診で高い値が出たときは、「いつものこと」と放っておかず、普段の状態を確かめることが大切です。まずは数字の意味と、家庭で確かめる方法を知っておきましょう。

この記事の要点
- 診察室では140/90 mmHg以上、家庭血圧の平均では135/85 mmHg以上が高血圧の診断に使われる目安です。
- 1回の値だけで決めつけず、朝と夜に測った家庭血圧を記録しましょう。
- まず始めやすい生活改善は減塩です。高血圧の方は食塩1日6g未満が目標です。
- 胸痛、強い息苦しさ、突然の麻痺や言葉の出にくさがあるときは、血圧の数字にかかわらず119番です。
血圧の「上」と「下」は、何の数字?
血圧は、血液が血管の壁を押す力です。「上の血圧(収縮期血圧)」は心臓が縮んで血液を送り出すとき、「下の血圧(拡張期血圧)」は心臓が広がるときの圧力を表しています。
「上だけが高い」「下だけが高い」という場合も確認が必要です。上下両方が高くなるまで大丈夫、というわけではありません。
どのくらいの血圧なら、高血圧なのでしょうか?
高血圧の診断に使う目安は、測る場所によって異なります。
| 測る場所 | 高血圧の診断に使う目安 |
|---|---|
| 診察室・医療機関 | 上が140 mmHg以上、または下が90 mmHg以上 |
| 家庭で測った血圧の平均 | 上が135 mmHg以上、または下が85 mmHg以上 |
ただし、血圧は緊張、直前の運動、寒さなどでも変わります。1回の値だけで普段の状態を決めつけず、繰り返し測った値や家庭での記録をもとに判断します。
診察室では高く、自宅では高くない「白衣高血圧」もあれば、診察室では高くなくても自宅で高い「仮面高血圧」もあります。「緊張したせいだから」と自己判断せず、家庭血圧を確認することが大切です。白衣高血圧の場合も、定期的な確認を続けます。
症状がなくても、なぜ血圧を下げる必要があるの?
高血圧は、目立った症状がないまま続くことがあります。しかし、高い圧力が長くかかると血管や心臓などに負担がかかり、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などにつながる危険が高まります。
治療の目的は、今日の数字を整えることだけでなく、将来の脳・心臓・腎臓を守ることです。「頭が痛くないから大丈夫」「元気に仕事ができるから問題ない」とは判断できません。
家庭血圧は「毎回なるべく同じ条件」で測りましょう
家庭での測定には、上腕に巻くタイプの血圧計を使います。腕の太さに合ったカフを選び、椅子に座って1〜2分休んでから測りましょう。足を組まず、腕を心臓と同じくらいの高さに置き、測っている間は話さないようにします。
| タイミング | 測るときのポイント |
|---|---|
| 朝 | 起床後1時間以内。トイレを済ませ、朝食・血圧の薬の服用前に測る |
| 夜 | 就寝前に、座って落ち着いてから測る |
朝と夜、それぞれ原則2回ずつ測り、両方の値を記録します。判断には、その平均などを使います。低い値が出るまで測り直したり、よい数字だけを書いたりする必要はありません。
手帳でもスマートフォンでも構いません。日付・時間・血圧をそのまま残し、診察時に見せてください。5日以上、できれば1週間程度の記録があると普段の状態を確認しやすくなります。ただし、記録をそろえるために必要な受診を先延ばしにしないでください。
食事でまず取り組みたいのは「減塩」です
高血圧の方の食塩摂取量は、1日6g未満が目標です。「食卓で塩をかけていない」という方でも、しょうゆ、みそ、漬物、加工食品、麺類のスープなどから塩分をとっています。
減塩は、味のない食事を我慢することだけではありません。例えば、次のような工夫があります。
- 麺類のスープを残す
- しょうゆは料理に直接かけず、小皿で量を決める
- 酢、レモン、香辛料、香味野菜で風味を足す
- 加工食品は栄養成分表示の「食塩相当量」を見比べる
栄養成分表示は「100g当たり」なのか「1食当たり」なのかも確認します。まず、いつもの食事で塩分が多くなりやすいところを一つ見つけることから始めてみてください。
野菜などを取り入れて食事全体を整えることも大切です。ただし、腎臓病などでカリウム制限を指示されている方は、自己判断で野菜・果物やカリウムを含む減塩調味料を増やさず、医師に確認してください。
運動・体重・お酒も、できるところから見直しましょう
血圧の改善には、減塩に加えて、無理のない運動、肥満がある方の体重管理、飲酒量を減らすことなども役立ちます。血管を守るためには禁煙も大切です。
例えば、運動習慣がない方なら、体調に問題がないことを確かめたうえで「10分だけ歩く時間をつくる」ところから考えてみましょう。いきなり激しい運動を始める必要はありません。血圧がかなり高い方や心臓の病気がある方は、先に運動の内容を相談してください。
体重についても、全員が同じように減量すればよいわけではありません。やせている方や高齢の方は、食事を減らしすぎて栄養や筋肉が不足しないよう、ご自身に合った目標を確認しましょう。
睡眠や、寒い場所への移動にも目を向けましょう
忙しさから睡眠を削っていたり、緊張した状態が続いたりしていませんか。休息や睡眠を確保し、気持ちを切り替える時間をつくることも、血圧の管理に役立ちます。
寒さで血圧が上がることもあるため、冬場は寝室だけでなく、脱衣所やトイレなどの冷えにも気を配りましょう。生活全体を一度に変えるより、負担なく続けられる工夫を選ぶことが大切です。
「高血圧の基準」と「自分の治療目標」は違います
先ほどの140/90 mmHgなどは、診断に使う目安です。一方、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、治療目標は原則として、診察室で130/80 mmHg未満、家庭で125/75 mmHg未満とされています。
ただし、数値だけを見て、やみくもに下げるものではありません。ふらつきやめまい、持病、体力、薬への反応などを確認しながら、安全に進めます。診察では「私の場合は、家で測った血圧をどこまで下げればよいですか?」と確認してください。
薬を飲み始めたら、ずっと続けるのでしょうか?
治療が長く続く方もいますが、生活の改善などによって医師の判断で薬を減らせる場合もあります。最初から「必ず一生同じ薬が必要」「生活に気をつければ必ずやめられる」のどちらかに決まるわけではありません。
薬を使う場合も、減塩や生活習慣の見直しは大切です。薬が必要かどうかは、血圧だけでなく、糖尿病・腎臓病などの有無や、これまでの病気も含めて判断します。
また、薬で血圧が安定しているときは、薬が効いている結果かもしれません。「正常になったから今日は飲まない」と自己判断で中止せず、変更は医師と相談しましょう。ふらつきや体調の変化があれば、我慢せずに伝えてください。
こんなときは、次の予約日を待たずに相談してください
座って1分以上休み、測り直しても上が180 mmHgを超える、または下が120 mmHgを超える状態が続く場合は、症状がなくても速やかに医療機関へ連絡してください。
胸の痛み、強い息苦しさ、突然の手足や顔のしびれ・麻痺、言葉が出にくい、ろれつが回らない、見え方の急な変化などがあるときは、血圧の数字にかかわらず119番です。血圧が下がるかどうかを自宅で待たないでください。
健診結果を、今後の健康を守るきっかけに
血圧の管理は、毎日の数字で一喜一憂するためのものではありません。普段の状態を知り、自分に合った方法を続けることが大切です。
健診で血圧を指摘された方は、健診結果・家庭血圧の記録・お薬手帳をお持ちください。辻医院では、今の状態と生活の様子を伺いながら、必要な検査や今後の方針を一緒に考えていきます。
健診で血圧を指摘された方は、当院へご相談ください
当院では、健診結果の数値だけでなく、家庭血圧の記録、糖尿病・腎臓病の有無、喫煙歴、これまでの病気、現在服用している薬などを確認したうえで、一人ひとりに合った生活習慣の見直しや治療方法をご提案しています。
「健診のときだけ高い」「家庭血圧の測り方がわからない」「薬を始めるべきか相談したい」というときも、お気軽にご相談ください。健康診断の結果、家庭血圧の記録、お薬手帳をご持参いただくとスムーズです。
医療法人緑萌会 辻医院
診療時間
午前 9:00〜12:30(受付 8:45〜12:15)
午後 17:00〜19:30(受付 16:50〜19:15)
休診:日曜・祝日、水曜・土曜の午後
アクセス:京都市伏見区醍醐合場町18-11(石田駅から徒歩10分/京阪バス「合場川」停留所から徒歩1分)
参考情報
- 日本高血圧学会「高血圧の日について」
- 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025 発刊のお知らせ」
- 日本高血圧学会「高血圧の話」(家庭血圧の測定方法)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- American Heart Association「Understanding Blood Pressure Readings」
※本記事は一般的な医療情報を提供するもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。気になる症状や血圧の高値がある場合は、医療機関にご相談ください。